
令和5年の医療施設調査から、病院の電子カルテ普及率はおよそ58%となっています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/
以前の記事で言及した「電子カルテ情報共有サービス」、またそのための標準型電子カルテの導入も進められているところですが、本格稼働の見通しはいまだ立っていない状況です。
診療行為の診療録(カルテ)への記録は、法律で定められています。
この機会にあらためて、基本的な知識をおさらいしましょう。
記録について定めた法律等の例
医療法第21条
病院は、(中略)次に掲げる人員及び施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。
(中略)
九 診療に関する諸記録
医療法施行規則第22条の3の2
診療に関する諸記録は、過去二年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約及び入院診療計画書とする。
医師法第24条
医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
保険医療機関及び保険医療養担当規則第22条
保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく、様式第一号又はこれに準ずる様式の診療録に当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない。
このように、
・医療機関として
・医師として
・保険医として
等、様々な観点から、診療の記録について法律で定められています。
診療報酬請求の根拠として
厚生労働省が作成した『保険診療の理解のために』では、次のように述べられています。
(1) 診療録とは
診療録(カルテ)は、診療経過の記録であると同時に、診療報酬請求の根拠でもある。診療事実に基づいて必要事項を十分に記載していなければ、不正請求の疑いを招くおそれがある。
厚生労働省-保険診療の理解のために
https://www.mhlw.go.jp/content/001322769.pdf
「診療録は、診療報酬請求の根拠でもある。」
「必要事項を十分に記載していなければ、不正請求の疑いを招くおそれがある。」
これは、請求上の算定要件として規定されている必須記載事項に限りません。極端なことを言えば、「●●検査を行う」といった記録がなければ、いくら検査を行っても診療報酬の請求はできないことになります。
悪意ある不正行為を行っていない場合でも、「記録がない」ために架空請求とみなされ、返還金を請求されることも考えられます。
痛くない腹を探られることがないよう、確実な記録を心がけましょう。