療養病棟の医療区分における中心静脈栄養の取り扱い

2024年診療報酬改定に於いて、療養病棟の医療区分に係る評価体系が見直されました。
特筆すべきは中心静脈栄養に係る評価の見直しです。
ただ中心静脈栄養を実施しているだけで医療区分3とされていたものが、条件付きとなりました。

また、同時に「経腸栄養管理加算」も新設。
入院料通則の「栄養管理体制の基準」が明確化され、急性期病棟では「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」が新設されました。

中心静脈栄養からの早期離脱、経口・経管栄養への移行をめざすこと。
入院患者の栄養補給に対する、国の方針のあらわれであると言えるでしょう。

中心静脈栄養とは?

中心静脈栄養とは、高カロリーの栄養輸液を中心静脈から投与することです。

ここでいう中心静脈は、体内の中心に近い太い静脈のこと。
一般的に「点滴」と聞いて思い浮かぶのは、腕などの細い末梢静脈への投与です。しかし、血流量が多い中心静脈に投与することで、高濃度の輸液が薄められ、血管へのダメージを抑えることができます。

医療区分における中心静脈栄養の取り扱い

改定前

【医療区分3】
中心静脈注射を実施している状態

中心静脈栄養を実施していることが条件で、日数の上限なく医療区分3とすることができます。

改定後

【医療区分3】
中心静脈栄養(療養病棟入院基本料を算定する場合にあっては、広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症候群、消化管瘻若しくは急性膵炎を有する患者を対象とする場合又は中心静脈栄養を開始した日から30日以内の場合に実施するものに限る。)

【医療区分2】
中心静脈栄養(広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症群、消化管瘻又は急性膵炎を有する患者以外を対象として、中心静脈栄養を開始した日から30日を超えて実施するものに限る。)

中心静脈栄養を開始後、30日以内はどの患者も医療区分3となります。
31日目以降は、特定の傷病を有するか否かにより、医療区分3・医療区分2に分かれます。

特定の傷病
広汎性腹膜炎、腸閉塞、難治性嘔吐、難治性下痢、活動性の消化管出血、炎症性腸疾患、短腸症群、消化管瘻又は急性膵炎

「30日以内」の起算日は、自院に於いて中心静脈栄養を開始した日。
経過措置として、2024年3月31日時点で中心静脈栄養を実施していた場合は、引き続き医療区分3となります。

なお、中心静脈栄養の終了後も7日間は、それまで算定していた医療区分に引き続き該当します。
忘れずに算定するようにしましょう。