ご存知ですか?ACP~人生会議

入院料の届出要件のうちのひとつ、「意思決定支援」の基準。
『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』等の内容を踏まえ、各医療機関が指針を定めることとされています。

医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。

厚生労働省・人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000197721.pdf

患者本人の意思決定支援の実践として、人生会議という言葉が挙げられます。
Advance Care Planning(ACP)、本人が大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自ら考え、信頼する人たちと話し合うことです。

命の危険が迫った状態になると約70%の方が、これからの医療やケアなどについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなるといわれています。
もしも、あなたがそのような状況になった時、家族などあなたの信頼できる人が「あなたなら、たぶん、こう考えるだろう」とあなたの気持ちを想像しながら、医療・ケアチームと医療やケアについて話合いをすることになります。
その場合にも、あなたの信頼できる人が、あなたの価値観や気持ちをよく知っていることが、重要な助けとなるのです。

ゼロからはじめる人生会議 https://www.med.kobe-u.ac.jp/jinsei/

前述のガイドラインに於いて、意思決定の手続きとして、次のような手順が説明されています。

1.患者本人の状態に応じた医学的検討を経たうえで、医師等から本人に対し適切な情報提供・説明がおこなわれる
2.本人と医療従事者等がじゅうぶんに話し合い、本人の意思決定を基本とした方針を決定する
3.時間の経過や状態の変化等により、本人の意思が変わることも考えられるため、随時情報提供と話し合いを繰り返していく

この手順の中の「話し合い」が、人生会議にあたるといえます。

医療機関として、指針を定めておくだけではなく、実際に意思決定支援を行う場面もあるでしょう。
その際、医者をはじめとする医療従事者は、患者本人が本当に望むことを汲み取ることができるよう努める必要があります。

これからの医療現場では、一方的な病気の治療だけでなく、患者の意思を尊重した双方向のコミュニケーションが重要です。
とくに、グループ内に医療機関だけでなく各種施設をお持ちの場合、治療後の患者の人生にも関わっていくことになります。
ひとりひとりの希望に寄り添い、満足な人生を送る手助けができるよう努めましょう。人によっては、医療機関を選ぶうえで「腕のいい名医がいる」こと以上に重要な要素となり得るはずです。