著作権はどの時点で発生するのか?誰のものなのか?
基本的なことをざっくりとまとめてみました。
著作権の発生
著作権は、著作物を創作した時点で、その創作者に自動的に与えられます。
「著作物」にあたる作品であれば、芸術的な価値とは関係なく与えられるものです。
第2条 定義
著作権法
一 著作物
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
たとえば今、私が手元のメモ帳にかわいい犬の絵(=著作物)を描いたら、私はこの絵の著作者であり、自動的にこの絵の著作権を与えられることになります。
著作者
第2条 定義
著作権法
二 著作者
著作物を創作する者をいう。
さきほどの、かわいい犬を描いた私、つまり個人(自然人)が著作者であればこれだけで済むのですが、そう簡単にはゆかない場合があります。パターンに分けて考えてみましょう。
1. 個人(自然人)が著作者の場合
私がかわいい犬を描き、私が著作者となり著作権を与えられるパターンです。
ここには他者の介入がないため、間違えることはありません。
では、もしこのかわいい犬の絵が、誰かに依頼されて創作したものであればどうでしょうか?
「かわいい犬の絵を描いてください。報酬は10000円」
私が創作したかわいい犬の絵は、報酬と引き換えに依頼者のもとへ行きます。私の手元に絵は残りません。
こうした場合でも、著作者は著作物の創作者、つまり私となります。
依頼者が報酬をいくら支払っていても関係ありません。
そのため、もし依頼者がこのかわいい犬の絵を複製したいと考えた場合は、著作者(=私)の許可が必要です。
※ただし、著作権(財産権)は譲渡が可能であるため、依頼者に著作権が移る可能性もあります。
2. 法人が著作者となる場合
かわいい犬の絵を描いたのは確かに私ですが、それがある会社の従業員として、業務の一環として描かれたものであればどうでしょうか。
じつは、「創作者(個人)が著作者となる」という原則はありつつも、一定の条件のもとでは会社(=法人)が著作者となることがあるのです。
法人が著作者となる条件(すべて満たす必要あり)
・その著作物をつくる企画を、法人等の使用者が立てること
・法人等の、業務に従事する者(=従業員)が創作すること
・職務上の行為として創作すること
・公表する際、「法人等の著作名義」で公表されること(プログラムの著作物を除く)
・契約や就業規則に、「業務に従事する者(=従業員)を著作者とする」という定めがないこと
※なお、著作権法上の「法人」には、会社等だけではなく国・自治会・PTAなども含まれます。
会社に所属し、業務として描いたかわいい犬の絵が、会社名義で公表された場合、この絵の著作者は私ではなく会社となります。
3. 映画の著作物の著作者
映画の著作物は、原作者・脚本家・映画音楽制作者など、多くの者が創作に携わるため、特別の規定があります。
プロデューサーや監督など、「全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者となるのです。
これは、原作・脚本・映画音楽などが映画の著作物の「部品」であるとされるためです。
私が描いたかわいい犬の絵本を原作として映画が作られた場合、私はその映画の著作者にはならず、全体の組み上げを担った監督が著作者となるのです。
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著作権の発生と著作者についてまとめました。
基本的には「著作物を創作した時点で」「その創作者に」著作権が発生することになります。
ただし、前回の記事でもお伝えした通り、著作権(財産権)は譲渡が可能であるため、創作した瞬間と現在とでは、著作権を持つ者が違っている可能性もあります。
このあたりについても、いずれまとめてみたいと思います。